妊娠30週頃のお腹の赤ちゃんとママの様子は?過ごし方のポイント

監修:古市 菜緒
- プロフィール
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助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

妊娠30週といえば、妊娠8か月の後半で出産予定日まで残り2か月あまり。お産への意識が高まり、お母さんとしての自覚がますます強まる時期です。妊娠区分では、妊娠後期(妊娠末期)に位置づけられます。
妊娠30週に入ると、ママのお腹がかなり大きくなって前にせり出し、体もますます重くなります。動悸や息切れが生じやすく、体のバランスもとりにくくなるので、動くのがつらくなりやすいです 。
妊娠30週は、ママにとってはいよいよ出産に向けた準備を進める時期、お腹の赤ちゃんにとっては、胎外生活に適応するために臓器が発達する重要な時期です。
この記事では、赤ちゃんの様子、ママの様子、妊娠30週の過ごし方について、詳しく解説していきます。
妊娠30週頃の赤ちゃんの様子
妊娠30週の赤ちゃんは、体重約1,300~1,500グラム、身長(頭からつま先まで)は約40センチになります 。手足も十分に発達していて、盛んにバタつかせたり、物をつかむ動作をしたりと活発です。体を大きく回転させることもあるので胎動も激しくなります 。
またこの頃は、皮下脂肪が増え、脳や肺も成熟が進み、出産後の胎外生活に向けた準備が加速する重要な時期です。視覚も発達して光を感じるとまぶしそうにするほか、聴覚も完成に近づいて声や音楽が聴こえるようになるので、コミュニケーションのチャンスでもあります 。
以下で詳しく、妊娠30週の赤ちゃんの様子をみていきましょう。
●髪の毛やまつ毛が伸びてくる
この時期の赤ちゃんの皮膚は赤く、顔にはシワがあり、「おじいちゃん・おばあちゃん」のような容貌です。
妊娠15週頃から赤ちゃんの顔や体にうっすら毛が生え始め、全身を覆うようになり、妊娠8か月頃がピークになります。妊娠30週頃は髪の毛が太くなり長く伸びはじめるなど、外見が徐々に新生児に近づいていきます。
●肺呼吸の練習が始まる
妊娠30週頃、赤ちゃんの脳、心臓、肺、腎臓などの臓器は完成に向け、最終段階に入ります。特に肺では、妊娠30週頃から胎児のしゃっくりのような動きが活発になります。これは肺呼吸の練習とされています。胎児がピクッピクッと動くしゃっくり様運動は、妊娠10週頃からみられますが、この時期のしゃっくり様運動は、赤ちゃんが羊水を飲みこんで肺をふくらませてから吐き出す動きをしています。
●おっぱいを飲む練習を始める
妊娠30週頃の胎児は、指やへその緒を吸う仕草が見られるようになります。この仕草は「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ/きゅうせつはんしゃ)」とよばれ 、出生後にママの乳首からおっぱいを飲む練習です。
吸啜反射そのものは20週頃から見られますが、この時期くらいから活発に見られるようになります。
●頭を下にした姿勢に落ち着いてくる
子宮内での胎児の向きを、「胎位(たいい)」とよびます。妊娠中期までの赤ちゃんは、お腹の中でさまざまな向きになりますが、妊娠30週頃から自然と頭を下にした「頭位(とうい)」に落ち着きます。
頭位が最も一般的で、出産時の負担が少ない胎位です。頭を上にした胎位を「骨盤位(こつばんい)」、体が横になった状態を「横位(おうい)」とよび、多くの場合、帝王切開が選択されます。
妊娠30週頃のママの様子
赤ちゃんの動きが活発になり、出産が近づく喜びを感じる一方で、ママは体も重く、疲れやだるさを感じやすくなります。仕事をしているなら産休までまだ数週間あり、体がきつくなる頃でしょう。
また、出産が間近に迫ってくるに従い、不安も大きくなるはずです。ストレスや気分の落ち込みなどを感じやすい時期でもあります。
以下では、妊娠30週のママの状態を詳しく解説します。
●動悸・息切れ・貧血を起こしやすくなる
母体を流れる血液の量(循環血液量)が最大に近づき、心臓から血液を送り出すための拍動の数(心拍数)も最大になるのが妊娠30週頃です。そのため、心臓がドキドキする動悸を感じやすく、心臓の負担が増えているために血液が十分に巡らず、貧血を起こしやすくなります。
妊娠後期に生じやすいめまいや倦怠感の多くは、循環血液量の増加と心臓への負担の増加による低血圧が原因です。
また、大きくなった子宮が横隔膜を圧迫するため、肺が十分にふくらまず、呼吸が浅くなります。少しの動作で息切れを感じやすくなるのはそのためです。子宮は横隔膜だけでなく、胃や膀胱などの臓器も圧迫し、食欲不振や尿漏れなどの症状も引き起こします。
●お腹が張りやすくなる
妊娠30週になると「お腹の張り」が出現しはじめます。「お腹の張り」は子宮の収縮で起こり、妊娠中には一般的にみられる現象です。
出産が近づく妊娠後期になると、体も出産に向けて準備をしはじめるため、子宮も収縮しやすくなります。多くの場合は生理的な現象なので、お腹の張りを感じたら30分くらい安静にして休みましょう。立ちっぱなし、座りっぱなし(例:観劇、運転)など、長時間の腹圧がかかる状態は避けてください。切迫早産や早産のリスクが高まります。
以前と比べてお腹の張りを感じる回数が増える、休んでも収まらずに1時間に数回繰り返す、痛みを伴うなどの状況があれば、産婦人科医への相談が必要です。特に出血、おしるし、破水などがあればすぐに病院に連絡しましょう。
最も緊急性が高いお腹の張りは、子宮から胎盤が突然はがれる「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」です。胎児と妊婦に生命の危険が生じるため、すぐに病院に行く必要があります。急な激痛と、お腹が板のように硬くなる強い張りが特徴です。
●腰痛・背部痛が生じる
腰の痛み(腰痛)、背中の痛み(背部痛)は、妊娠30週頃によくみられる症状の一つです。
妊娠によるホルモン変化によって筋肉や靱帯がゆるみやすくなる一方で、体重が増え、お腹が前にせり出し、体のバランスを保つのが難しくなります。それによって、腰背部の筋肉や靱帯に負担がかかり、痛みが生じます。
姿勢を正しくして、腰や背中に負担がかかる動作を避けることが重要です。疲労やストレスも原因になるため、リラックスを心がけましょう。腹帯や骨盤ベルトの着用も有効です。
●眠りが浅くなる
お腹が大きくなったことで、横になっても腰や背中が痛み、目が覚めてしまいます。また、妊娠後半期に起こりやすい足のつり(こむら返り)、足のむくみや違和感、お腹の張り、胎動、夜中に何度もトイレに行きたくなる夜間頻尿なども、眠りを妨げる原因になります。
寝不足になりやすい時期なので、寝る前は安静にしてリラックスする、足をマッサージするなど、就寝前の過ごし方を工夫しましょう。足のつりやむくみは、血行不足も原因のひとつです。昼間の活動不足なども影響するため、適度な運動をおすすめします。
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また、寝るときの姿勢も工夫しましょう。あおむけでお腹が苦しいときは、横向きになって上側になる脚を前に出す「シムス位」を取ると、お腹への負担を軽減できます。クッションや枕を脚の下に入れて高さを調節するなど、自分が最も楽な姿勢を見つけましょう。足を高くして寝るのも足のつりやむくみ対策に効果的です。
●妊娠線ができはじめる
妊娠30週以降は、お腹や胸がさらに大きくなり、皮膚が伸びることで、肌にかゆみを感じたり、妊娠線ができやすくなったりします。特に肌が乾燥していると、症状がひどくなるため、保湿クリームやマタニティクリームなどを使い、皮膚をやわらかくしておきましょう。
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●心が不安定になる
妊娠後期に入ると、出産への不安やストレスを感じることがあります。体が思うように動かないもどかしさ、マイナートラブル、睡眠不足などをかかえると、特に心が不安定になりがちです。
妊娠中の気分の落ち込みは、多くの先輩ママが経験しています。特に産後数日から2週間くらいに生じる精神症状(涙が止まらない、イライラする、落ち込むなど)をマタニティブルーとよびますが 、妊娠中から心が不安定になっているケースが多いです。
不安やストレス、心の不調を感じたらひとりで考えこまず、パートナーや出産経験のある身近な人に話しましょう。
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| <ポイント>妊娠30週頃は体調の変化に気を配りたい時期 妊娠30週頃は早産のリスクに注意が必要です。妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病なども妊娠後期に出現することが多く、持病や家族歴、高年齢などの要因以外に、体重増加やストレス、喫煙や飲酒なども要因になるため、生活習慣に気を配る必要があります。 早産、切迫早産、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などは、自覚症状が乏しい場合もあるため、体に異変を感じたときは、自己判断せず医師に相談しましょう。 |
妊娠30週頃の過ごし方のポイント
妊娠30週頃は、妊婦健診がまだ2週間に1回の時期なのでセルフケアが重要です。
妊娠30週をトラブルなく過ごし、無事に出産を迎えるための生活ポイントを解説します。
●バランスのよい食事をとる
妊娠後期に入ると、胃が圧迫されて一度に食べられる量が減りやすいです。また、胃の圧迫とホルモン変化が原因とされる「後期つわり」といった症状(吐き気・嘔吐、胃の不快感、胸焼け・食欲不振など)が出現することもあります。このような場合は、少量の食事を数回に分けて摂取し、必要な栄養を確保しましょう。
食事はバランスよく摂取する必要がありますが、とりわけ積極的に摂りたい栄養素は、葉酸、鉄分、カルシウム、タンパク質、ビタミンC、食物繊維、ビタミンB群、ビタミンD、亜鉛です。
<妊娠後期に積極的に摂取したい栄養素>
| 栄養素 | 働き | 多く含まれる食材 |
|---|---|---|
| 葉酸 |
細胞の生産や再生を助け、体の発育に役だつ
胎児の発達に重要 妊娠前の約2倍の摂取が必要
|
ほうれん草、モロヘイヤ、アスパラガス、ブロッコリーなどの緑色の野菜、枝豆、いちご、マンゴーなど |
| 鉄分 |
血液の材料になる 不足すると貧血に 妊娠前の約3倍の摂取が必要
|
牛肉、アサリ、納豆、小松菜、ナッツ類、海藻類など |
| カルシウム |
骨や歯の形成に必須 胎児の骨づくり、母体の骨の維持に重要
|
乳製品や小魚、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類など |
| タンパク質 |
体を構成する主成分 胎児の体づくりに必須
|
肉、魚、卵、大豆、乳製品など |
| ビタミンC | 鉄の吸収を助ける | 柑橘類、緑黄色野菜、イモ類など |
| 食物繊維 |
腸の働きを助ける 妊娠中の便秘予防に重要
|
海藻類、イモ類、豆類、野菜類など |
| ビタミンB群 | 代謝に欠かせない栄養素 | 豚肉、鶏肉、豆類、納豆、カツオ、アジ・サンマ・サバなどの青魚、シジミ・アサリなど |
| ビタミンD | カルシウムの吸収を促進 | サケ、サンマ・イワシなどの青魚、キノコ類など |
| 亜鉛 |
細胞分裂に必要 赤血球づくりにも欠かせない
|
赤身の肉、鶏肉、カニ、豆類、ナッツ類など |
塩分はむくみや妊娠高血圧症候群の原因、糖分は肥満や妊娠糖尿病の原因になるため、摂りすぎには注意しましょう。
●心と身体のケアを行う
妊娠30週以降、出産に向けて体はさらに変化し、さまざまな心身の不調があらわれます。気分転換やストレスの緩和、心身のリラクゼーションを心がけましょう。
●出産に向けた準備を始める
妊娠30週を過ぎると、ますます動きにくくなります。出産予定日前の出産も十分にあり得るため、余裕をもって出産の準備を進めておくと安心です。
| ▼準備の例 ✓ ベビー用品の購入やレンタル手続き ✓ 赤ちゃんの衣類や布製品を水通しする ✓ 入院に必要な持ち物をバッグにまとめておく ✓ 自宅に赤ちゃんを迎える準備を始める |
自宅に赤ちゃんを迎える準備としては、部屋の掃除や整理、ベビーベッドを置くスぺースの確保、着替えやおむつなどを収納場所の確保などがあげられます。また、水通しや出産のための入院準備なども必要です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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赤ちゃんの臓器が完成に近づく妊娠30週はママの過ごし方が重要
妊娠30週は、赤ちゃんの臓器が完成するのを間近に控えた非常に重要な時期です。
ママのお腹はかなり大きくなり、動悸や息切れ、貧血、お腹の張り、腰痛・背部痛、睡眠不足などのマイナートラブルが起こります。また、切迫早産や早産にも注意が必要な時期なので、バランスのよい食事や心身のケアが重要です。
一方で、臨月前の比較的行動しやすい時期でもあります。出産に向けた準備を進めておくほか、前向きな気持ちで出産を迎えるためにも、気分転換や心身のリラクゼーションをはかり、無理のない範囲で出産前にやりたいことを叶えておくなど、なるべく楽しんで過ごしましょう。
すでに妊娠30週の赤ちゃんは、聴覚も発達しています。赤ちゃんに語りかけながら、お買い物やお出かけなどを楽しむのもよいかもしれませんね。
妊娠30週のママによくある疑問
Q. 妊娠30週のお腹の張りは大丈夫?
A. 一時的な張りは子宮の練習収縮で問題ない場合が多いです。ただし頻繁に出現したり痛みを伴ったり休んでも治まらない場合は早産の可能性があるため受診が必要です。なお、出産の前段階にあたる子宮収縮とお腹の痛みを前駆陣痛とよびます。前駆陣痛は臨月(妊娠36週以降)に生じることが多いです。
Q. 妊娠30週で早産になる可能性は?
A. 妊娠37週から41週までの出産を「正期産」とよび、最も一般的でリスクの少ない分娩時期になります。正期産以前の妊娠22週から36週までの出産は「早産」とよばれ、この時期に生まれた赤ちゃん(胎児)は臓器の準備が十分に整っていないまま外界に出るため、病気や発達上のリスクを伴うとされています。
妊娠30週は早産リスクが完全になくなる時期ではありません。張りの増加、出血、下腹部痛がある場合は早めに医師へ相談することが重要です。
近年は周産期医療が進み、早産によるリスクは少なくなっていますが、性行為による子宮内感染、過労やストレス、腹部への大きな物理的刺激(衝突や転倒)などが早産や切迫早産(早産になりかけの状態)の原因になるため、注意してください。
Q. 妊娠30週の胎動はどのくらいが正常?
A. 妊娠30週は胎動をはっきり感じる時期です。回数に個人差はありますが、極端に減った場合や半日以上感じない場合は受診を検討しましょう。




















