水通しの正しい方法は?出産前に洗うべきベビーアイテムやタイミング

監修:古市 菜緒
- プロフィール
-
助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

赤ちゃんを迎える準備は、楽しみな一方で「これで合っているのかな?」という小さな不安の連続です。
そんなお迎え準備の一つに、「水通し(みずどおし)」があります。
妊娠・出産関連の相談サイトには、「水通しとは何?」「正しいやり方は?」などの投稿が多数見られることから、正しいやり方がわからずに困っているママ・パパが多くいるようです。
本記事では、水通しの意味や必要性はもちろん、「いつやる?」「どんな洗剤で?」「どう干せばいい?」といった具体的な疑問を一つずつ解説します。
初めての出産準備で迷いや不安を抱えているプレママ・新米ママに、安心して赤ちゃんを迎えるための正しい知識をお届けします。
水通しとは?
水通しとは、ベビー用の衣類や布製アイテムを「赤ちゃんに使う前」に一度洗う作業のことを指します。
新品のベビー服や肌着、ブランケット、ガーゼ、タオルなど、赤ちゃんが直接肌に触れるものは、出産前に水通しを済ませておくのが一般的です。これは、赤ちゃんを迎えるための大切な準備のひとつといえるでしょう。
新品の状態では、商品管理や輸送、販売時のホコリ・雑菌・化学物質などが付着している可能性があります。そうした「見えない汚れ」や「化学物質」をあらかじめ洗い落としておくことで、赤ちゃんの敏感な肌を守る準備となるのです。
水通しは何のために行う?
水通しは、赤ちゃんの肌を守り、快適に過ごせるようにするために行う大切な準備です。化学物質や染料の残り、見えない汚れを除去し、吸水性を高め、生地の縮みを防ぐ役割があります。
以下で詳しく解説します。
●赤ちゃんの肌をホルムアルデヒドから守るため
新品の衣類についている物質は、赤ちゃんの肌に影響を与える場合があります。
例えば衣類にはシワや縮みを防ぐために「ホルムアルデヒド」が使用されている場合があります。「ホルムアルデヒド」は、建築建材や家具の塗料、接着剤、フローリングなどにも使われている化学物質で、赤ちゃんのデリケートな肌に触れると、アレルギーや肌荒れなどの皮ふトラブルを起こす可能性があります。
生後24か月以内の赤ちゃんを対象とした衣類には「ホルムアルデヒド」の使用に厳しい規制が敷かれていますが、「ホルムアルデヒド」は衣類に吸収されやすい性質を持っているため、出荷の途中や店頭などで、ほかの衣類や家具に触れて移染している場合もあります。「ホルムアルデヒド」は水に溶けやすい物質のため、水通しをして赤ちゃんの肌に触れる前に除去しておきましょう。
●色移りや、染料による肌トラブルを防ぐため
赤ちゃんの衣類には白や淡い色のものだけでなく、濃い色合いの服もあります。濃い色の衣類には染料が多く使用されているので、ほかのものと一緒に洗うと色移りする場合もあります。また、使われている染料によっては赤ちゃんの肌トラブルの原因になる恐れもあります。水通しをして、色移りや赤ちゃんの肌への悪影響を予防してください。
●吸水性を高めるため
新品の洋服や寝具などには糊がついていることもあります。糊がついていると吸汗性が悪いので、大人よりも汗をかく赤ちゃんはあせもなどができる可能性もあります。水通しして糊を落とすと吸水性がアップし、肌触りもよくなります。
●生地の収縮を防ぐため
新品の衣類は、初めて洗濯をすると多少の縮みが起こることがあります。特に天然素材のコットンやリネン、ガーゼなどは、水や温度の変化に敏感です。初めて着せる前に水通しをすることで、実際に赤ちゃんが使い始めてからの「想定外のサイズ変化」を防ぎやすくなります。
水通しを行うタイミングは?
妊婦さんの体調も比較的安定している妊娠8か月(28週~31週)から妊娠9か月(32週~35週)頃がいいでしょう。この時期より遅くなると急に陣痛が始まる可能性もありますし、出産直前に慌てないようにお天気のよい日を選んで早めに済ませておくと安心です。もし足りないものに気がついたら買い足しする時間の余裕もあります。
水通しするべきアイテムは?
ベビー服や肌着だけでなく、 ミトン、 くつ下、 スタイ、 ガーゼ、タオル、 バスタオル、 寝具、ぬいぐるみ等の布製おもちゃなど、赤ちゃんが触れるものはすべて水通しをしておきましょう。
まれに洗えない素材のものもあるので、事前に洗濯表示を確認してください。出産後も、赤ちゃんのものを買い足したら水通しすると安心です。
| アイテム分類 | 具体例 |
|---|---|
| 寝具 | シーツ、ブランケット、おくるみ |
| 衣類 | ベビー服、ロンパース、肌着、くつ下 |
| 布小物 | ハンカチ、よだれ掛け(スタイ)、ミトン、ガーゼ、タオル、バスタオル |
| その他 | ぬいぐるみ |
水通しの方法は?
水通しの手順は「洗濯槽の掃除」「洗い」「干し」「保管」の4ステップが基本です。赤ちゃんの肌を守るために、洗剤選びや干し方にも気を配り、丁寧に進めましょう。
水通しに必要なアイテムは以下の通りです。
▼準備するもの
- 洗濯槽クリーナーもしくは酸素系漂白剤
- 赤ちゃん用洗濯洗剤・せっけん
- ハンガー、ピンチハンガー
●Step1.洗濯槽を清潔にする
洗濯槽には、カビや雑菌、衣類から出たゴミ、洗剤のカスなどが付着しています。汚れた状態で洗濯物を入れると、衣類に汚れや臭いが付着する恐れがあります。水通しの前に洗濯槽の汚れをきれいに落としておきましょう。
洗濯槽を洗うクリーナーは塩素系漂白剤が無添加の「アラウ.酸素系漂白剤」がおすすめです。酸素系の洗浄成分が洗濯槽に付着した見えないカビや、汚れや臭いに働きかけ、汚れをすっきりと落とします。
●Step2.洗濯ネットに衣服を入れる
洗濯ネットを使用すると、形崩れや生地の傷みを防止できます。肌着やベビー服の紐はすべてほどいてから入れましょう。
●Step3.生地を傷めにくい洗濯コースで洗う
赤ちゃん向けの布製品は綿100%のものが多く、洗濯機で洗えるものが多いです。しかし中にはデリケートな素材でできているものもあるので、洗う前に洗濯表示を確認しましょう。
また手洗いする場合は、まず洗面器などをきれいに洗います。そして水またはぬるま湯に赤ちゃん用洗剤を入れて、洗濯物を浸し優しくもみ洗いしてください。
●Step4.形を整えて干す
洗った後にぬれたままや生乾きの状態にしておくと、雑菌が繁殖して、嫌な臭いの原因になります。水通しをした洗濯物はすぐに干すようにしてください。
花粉やPM2.5が気になる季節なら部屋干しでも問題ありませんが、窓際の日光の当たる場所で干すのがおすすめです。しかし部屋干しは生乾きになりやすいので、衣類同士の間隔を十分に空け、扇風機で風を当てるなどの工夫が必要です。
乾燥機の使用は、繊維が傷みやすく生地の縮みやごわつきの原因になる場合もあるので、できるだけ避けましょう。
●Step5.他の衣類と混ざらないように保管する
水通しした赤ちゃんの衣類を大人の衣類などと一緒にしまっておくと、「ホルムアルデヒド」が移染する可能性があるので、保管方法にも注意が必要です。
赤ちゃん専用の新しいタンスに入れるか、大人のものと一緒に保管する場合はジッパーつきの袋やビニール袋に入れるようにしてください。さらにタンスの置き場所もできるだけ湿気の少ない部屋を選ぶといいでしょう。
| <赤ちゃん用の以外の洗濯洗剤の使用は避けるべき?> 大人用の洗濯洗剤には、合成界面活性剤や合成香料、漂白剤、蛍光増白剤など赤ちゃんの肌には刺激となる成分が含まれているものが多いため、避けたほうがよいでしょう。 一方で、赤ちゃん用洗剤でも大人用と同じ成分が含まれているものもあるので、注意が必要です。
逆に、安心な成分の赤ちゃん用洗剤は家族全員の洗濯に使うことも可能です。 |
何歳頃まで水通しは行うべき?
赤ちゃんの肌の水分保持力や角質層のバリア機能が大人と同じくらいに整ってくるのは、一般的に3〜4歳頃といわれています。
ただし、これはあくまで目安であり、赤ちゃんの肌の状態や成長には個人差があります。
水通しが不要になる月齢や年齢についても、明確な決まりはありませんが、ホルムアルデヒドの規制基準である生後24か月(2歳)頃が一つの目安とされることがあります。
一方、水通しはどうしても手間がかかるため、肌の様子を見ながら、1歳頃から水通しをやめる方もいます。お子さんの肌の状態や体質に合わせて、水通しを続けるかは判断しましょう。
赤ちゃんに会う日を思いながら水通しを
小さなベビー服やくつ下を洗って干していると、「もうすぐ赤ちゃんに会えるんだ」という実感がわいてきますよね。親になる喜びや幸せを、あらためて感じる瞬間でもあります。
水通しは、「世界一幸せな洗濯」ともいわれており、単なる「洗濯」ではなく、赤ちゃんを迎えるための大切な準備のひとつです。新品の服やタオルをきれいに整えるその作業には、「わが子に安心して使ってほしい」という愛情が込められています。
赤ちゃんの誕生を楽しみにしながら、安心と愛情に包まれた準備を進めていきましょう。
赤ちゃんの水通しに関するよくある疑問
Q. 水通しは洗濯機と手洗いどちらで行うべき?
どちらでも良いですが、洗濯ネットを使用し、洗濯機で仕上げるのが手早く便利です。デリケートな素材は手洗いをおすすめします。
Q. 大人の衣類と一緒に洗っても良い?
大人の衣類には汚れや花粉、洗剤や柔軟剤の添加物が残留していることもあります。水通しは大人の衣類と分けて、赤ちゃん用品だけで洗いましょう。
どうしても分け洗いが大変であれば、赤ちゃんが外出できるようになってから(1か月健診終了後くらい)、赤ちゃん用洗濯洗剤(せっけん)で家族のお洗濯をまとめて洗うのもおすすめです。
Q. 水通しは一度だけで良い?
新品の赤ちゃん用品は基本1回で問題ありません。保管期間が長い場合やお下がりをもらったときは再度行うと安心です。




















