妊娠21週頃の赤ちゃん・ママの様子は?6か月頃の過ごし方のポイント

監修:古市 菜緒
- プロフィール
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助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

妊娠21週目は、妊娠期間40週のちょうど「折り返し地点」です。
16週目以降のいわゆる「安定期」にあたるこの時期は、つわりが落ち着くなど、ママにとっては活動しやすい時期だといえます。胎動に気づく妊婦さんも多く、赤ちゃんをより身近に感じる頃でしょう。
妊娠6か月(20〜23週)になると、超音波(エコー)検査で、多くの赤ちゃんは性別がはっきりと判別できるようになります。さらに、上下のまぶたが開き、髪の毛や眉毛も生えはじめ、顔立ちが整ってきます。超音波検査で、赤ちゃんと対面するのがさらに楽しみになるママ・パパも多いはずです。
「誰に似てるかな?」「名前はどうしよう?」とワクワクして、わが子への愛情が一段と深まるでしょう。この時期は、赤ちゃんも日ごとに成長しながら、外に出てくる準備をしているのです。
今回は妊娠21週の赤ちゃんやママの様子、そして6か月頃の過ごし方のポイントを詳しく解説します。
妊娠21週目頃の赤ちゃんの様子
個人差はありますが、妊娠21週のお腹の赤ちゃん(胎児)の大きさは「バナナ3本付きの房ひとつ」くらいです。身長(頭から足底までの長さ)は19~25センチメートルほど、推定体重は250グラム~500グラムほどで、頭の大きさ(BPD)は平均5センチメートルになります。
赤ちゃんの重要な臓器の形成は、妊娠初期の12週頃には終わっています。妊娠21週頃は、臓器の機能がさらに成熟したり、骨格形成が進んだりと、目まぐるしい成長がみられるのが特徴です。ここでは赤ちゃんの主な変化を解説していきます。
●赤ちゃんの骨格がしっかりしてくる
妊娠20週以降になると、赤ちゃんの骨がしっかりして、体の末端まで筋肉がついてきます。超音波検査では、手足の指や、指の関節の場所まではっきりとわかるようになる頃です。手は物を掴めるくらいにまで発達し、足は力強くキックするような動きがみられます。
●赤ちゃんの動きが活発になってくる
骨格がしっかり発達することで、お腹のなかの赤ちゃんの動きは大きく、そして活発になってきます。
妊娠20週を過ぎるとママの羊水量はおよそ350ミリリットルまで増えるため、赤ちゃんはたっぷりの羊水のなかをグルグルと、ダイナミックに動き回るようになるでしょう。
●赤ちゃんの睡眠リズムが整ってくる
赤ちゃんの睡眠と覚醒のサイクルが規則的になってくるのも、この時期の変化です。
妊娠21週頃の超音波検査では、お腹の赤ちゃんが眠ったり、指を口に近づけている仕草などが見えることもあります。赤ちゃんなりの生活リズムで、毎日成長しながら、1日を過ごしているのです。
妊娠21週目頃のママの様子
妊娠21週目は、妊娠6か月にあたります。妊娠期間でいうと「妊娠中期」です。この時期、ママの体型はふっくらし、お腹が前に出てきて、より妊婦さんらしい見た目になります。
「お母さんになるんだ」という実感がわく頃ですが、体型やホルモンバランスの変化により、さまざまなマイナートラブルが出やすい時期でもあります。
ここでは、妊娠21週頃のママの様子を詳しくみていきましょう。
●胎動を感じるママが増える
妊娠21週を過ぎたあたりからは、多くの妊婦さんが胎動を感じるようです。
感じ方には個人差がありますが、お腹をポコン、ポコンと蹴られたり、ブルブルとお腹が震えたりすると、赤ちゃんがママのお腹のなかで元気に成長しているのを体感できるでしょう。
●背中や腰がこりやすくなる
妊娠21週になると、ママはお腹が大きくなり、背中や腰が凝りやすくなります。上体を反らせる格好になることで重心が変わり、背中や腰が前方に引っ張られ、負担がかかるようになるためです。
背中や腰がこることで、腰痛に悩まされる妊婦さんも多くいます。腰痛には「リラキシン」というホルモンも関係するようです。リラキシンは骨盤の関節や靭帯をゆるめて、出産時に産道を確保しやすくする大切な妊娠ホルモンですが、分泌中は腰回りの安定性が低下しやすくなります。
妊婦帯(マタニティベルト)を活用する、適度に体を動かすなどの対策で、予防や痛みの緩和をしましょう。
●胸焼けを感じるようになる
妊娠中期は胃が圧迫されて、胸焼けの症状が起こりやすいです。お腹の赤ちゃんが成長して子宮が大きくなることが理由ですが、妊娠ホルモンの影響で、食道と胃の間の弁がゆるむので、胃酸が食道に逆流することもあります。
またこの時期、大きくなった子宮は腸も圧迫します。便秘予防のためにも、消化のよい食事を選び、食物繊維や水分を積極的に取りましょう。
●のぼせやほてりを感じることがある
妊娠中はホルモン分泌量の上昇により、新陳代謝が活発化します。そのためママは妊娠特有の「のぼせ」や「ほてり」を感じることがあります。
こうした症状を防ぐには、締めつけの少ない服を着て、できるだけ快適に過ごしましょう。「水分を取る」「部屋を快適な温度・湿度に保つ」「窓を開けて換気する」「脱ぎ着できる服装で調整する」なども、症状を和らげるのに効果的です。
●足がつりやすくなる
妊娠中期から妊娠後期にかけて、ママは足がつりやすくなります。大きくなったお腹と急激な体重増加で、足の筋肉に負担がかかり、下半身の血流が悪くなることなどが原因です 。
特にこの時期、約7割の妊婦さんが経験するといわれるのが「こむら返り」です。こむら返りはふくらはぎや足の裏の筋肉が突然けいれんし、足に激痛が走る現象で、特に就寝時に起こりやすいとされます。
予防策には…
①眠る前にふくらはぎの筋肉を伸ばす
②水分を多く取る
③温かいお風呂に入る
④マッサージで筋肉をほぐす
──などをおこない、不快感を和らげましょう。
こむら返りやその対策について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
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- 妊娠中に「こむら返り」が起きやすいのはなぜ?足がつる原因や対処法
●前駆陣痛(ブラクストン・ヒックス収縮)が起こることがある
前駆陣痛とは、子宮が収縮することで「お腹の張りや痛み」を感じる現象です。「偽陣痛」や「本陣痛への練習」とも呼ばれ、特に妊娠中期や妊娠後期に感じる傾向があり、出産に向けて体が準備をしているサインともいえます。
本格的な陣痛とは違い、前駆陣痛は安静にしていると落ち着くことがほとんどです。
ただし、妊娠21週にお腹の張りを感じたり、下腹部に鋭い痛みがあったりする場合は病院に連絡するのがよいでしょう。
妊娠21週目頃の過ごし方のポイント
プレママさんも妊娠初期のママさんも、妊娠21週目頃の赤ちゃん・ママの様子がイメージできたでしょうか。安定期にあたる妊娠中期ですが、くれぐれも無理のないマタニティライフを心がけましょう。
続いて、妊娠21週目の妊婦さんの日常生活での注意点や、過ごし方のポイントを紹介します。
●転倒に注意する
妊娠21週頃になると子宮が大きくなるため、ママの重心が変わります。そこで注意したいのが、バランスを崩して転倒することです。
ちょっとした段差などでも転びやすくなるので、歩くときはリスクを避け「階段に注意する」「滑りやすい場所は避けて通る」「フラットな靴を履く」などで対策をしましょう。転倒して出血がみられた場合は、早急な受診が必要です。
これから出産直前まで、お腹はますます大きくなります。家族などに協力してもらい、体に負担のかかる仕事・家事を減らすのも大事です。
●体重増加に気を付ける
娠21週頃はつわりが落ち着いてくるママも多く、妊婦健診も月に1回のため、体重管理がおろそかになりがちです。「赤ちゃんの分まで」と食欲のままに食べてしまうと、体重は増えすぎてしまいます。
こまめに体重計に乗って記録を取ったり、適度な運動などで体重管理をしたりするなど、健康的な生活を心がけましょう。妊娠期の運動には、ウォーキング、マタニティヨガ、水泳など、自分のペースで続けられるものがおすすめです。運動の可否については医師と相談しましょう。
妊娠中の体重増加は、妊娠前の体格(BMI)によっても異なりますが、体格が標準の方は妊娠全期を通して10キログラム〜13キログラム程度が目安です。赤ちゃんや胎盤、羊水、ママの血液や水分、出産や授乳に備えた皮下脂肪を合わせても、増加体重は上記の数字をめやすにしましょう。
反対に、「やせ」を気にして体重増加を制限してしまうと、出生時の体重が2,500グラム未満の「低出生体重児」となる危険もあります。ママの健康、そして赤ちゃんの発育のためにも、適正体重を守りましょう。
| <ポイント>旅行やレジャーを考えるならこの時期に
赤ちゃんが生まれると、しばらくは旅行やレジャーを楽しむ時間が取りにくくなります。この時期であれば、妊娠中の思い出づくりや気分転換のために、パパや家族と一緒にお出かけするのもおすすめです。
ただし、妊娠経過に問題がなく、お腹の赤ちゃんも順調であることや、ママの体調のよいときに無理のないスケジュールであることが大前提です。旅行する場合には、旅先の医療体制を確認しておくなど、ママの体を最優先した計画を立てましょう。 |
●妊娠線のケアをする
21週頃になると、急にお腹が大きくなることで皮ふが伸び、「正中線」が目立ちやすくなったり、「妊娠線」ができたりします。
「正中線」とは、お腹を縦に走る、黒や茶褐色の線、「妊娠線」とは、妊娠における体型の急激な変化によってできる、ひび割れのような線のことです。
正中線は産後に自然と消えますが、妊娠線は皮ふが裂けてできるため、消えにくいのが特徴です。妊娠線はお腹やバスト、太もも、ヒップ、二の腕などにあらわれることが多いといわれています。
妊娠線への対策は「保湿」が有効です。妊娠中は肌のかゆみが出る妊婦さんもいるので、マタニティクリームなどを使って、保湿ケアをしっかりとしてあげましょう。妊娠線のケアについて知りたい方は、次の記事もご覧ください。
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妊娠21週は赤ちゃんの存在を感じて、ゆったりと過ごそう
妊娠21週は、妊娠期間の後半戦がスタートする時期です。
妊婦さんにとっては体調が安定しやすいとされる時期ですが、無理をするのは厳禁です。不安なことがあれば自分で判断せず、早めに産婦人科を受診して医師に相談することも大切でしょう。
ゆったりと過ごすことは、よいお産を迎えるためのポイントでもあります。妊娠期に特有のマイナートラブルを減らしながら、お腹の赤ちゃんにママの愛情をたっぷり伝えて、妊娠後期、そして赤ちゃんを迎える日への準備をしていってくださいね。



















