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妊娠9か月(32〜35週)のママ・赤ちゃんの様子ややるべきこと

監修:古市 菜緒

プロフィール

助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

妊娠9か月はお腹の赤ちゃんの成長が著しく、そのぶんママの負担が大きくなる時期です。妊娠期でいえば妊娠末期の中盤にあたり、妊娠週数にすると32週・33週・34週・35週になります。

分娩予定日とは妊娠40週0日のことで、出産していい時期である正期産は37~41週の期間のことです。しかし、妊娠9か月が過ぎた36週以降は「臨月」とよばれる、赤ちゃんがいつ産まれてもおかしくない時期に入り、週1回の妊婦健診が推奨されています。

つまり、妊娠9か月は「臨月」前の最後の1か月となるのです。働いている方は、34週から産休の取得が可能になります。
妊娠9か月の胎児は各臓器が発達し、見た目も正期産の赤ちゃんとほとんど変わりません。そのぶん、ママのお腹も大きくなり、母体にさまざまな変化が生じます。

今回の記事では出産を間近に控えた妊娠9か月のママの様子、赤ちゃんの様子、妊娠9か月の時期にすべきことを詳しく解説していきます。

妊娠9か月頃のママの様子


妊娠9か月頃のママの様子

妊娠9か月になると、ママの体にはどのような変化が起こるのでしょうか。事前にイメージをつかんでおくと、余裕をもって過ごすことができます。


●お腹がさらに大きくなる


子宮内の胎児の周囲を満たす羊水の量は、妊娠30週~35週頃にピークとなります。ピーク時の羊水量は約800ミリリットルです。これだけで約1キログラムの重さになります。加えて、胎盤も500グラム程度の重さです。後ほど詳しく説明しますが、胎児は身長40~45センチメートル、体重1.5~2キログラムまで成長しているため、ママのお腹はとても大きくなります。

膣につながる子宮の出口(子宮口)の反対側にあたる子宮の底(子宮底)の高さは35週がピークです。臍よりはるか上のみぞおちまで達します(35週を過ぎると、お腹は前にせり出すので、子宮底の高さはやや下がる)。お腹の張りも強いです。


●マイナートラブルが起きやすくなる

妊娠9か月は、子宮が大きくなることで、周辺の臓器を圧迫し、さまざまなマイナートラブル(妊娠に伴う体の不調)が起きやすくなります。

起こりやすいマイナートラブルは、以下の通りです。

①胃もたれや胃痛・便秘

子宮が胃を圧迫し、つわりのような胃もたれや胃痛が生じます。食事では、一度に多くの量を食べられなくなります。腸も圧迫されるため、便秘で苦しい思いをする妊婦さんも多いです。

②お腹の張り

出産直前の本物の陣痛(本陣痛)とは異なるお腹の張りや痛みを、前駆陣痛とよびます。前駆陣痛は妊娠10か月に起こりやすいものですが、妊娠9か月でも不規則な子宮収縮によるお腹の張りや違和感、恥骨の痛みを感じるケースが多いです。

③動悸・息切れ

子宮が心臓や肺を圧迫し、動悸や息切れ、胸やけが起こりやすくなります。子宮底の高さが最大になる妊娠9か月にとくに生じやすいマイナートラブルです。

④頻尿

子宮と、出産に備えて下降する胎児に膀胱が圧迫されて、トイレが近くなります。頻尿で眠りが浅くなったり、くしゃみやしゃっくりをしたり笑ったりすると尿漏れを起こすこともあるので注意しましょう。

⑤腰痛

お腹が大きくなることによる体の重心の変化、姿勢の崩れが、腰痛につながります。また、妊娠中に分泌される女性ホルモンの一種、リラキシンの作用によっても、腰痛が生じやすくなります。リラキシンは骨盤の靭帯や筋肉を緩め、腰の筋肉に負担をかけるのです。

⑥足のつり・むくみ

子宮の圧迫により、足から血液を戻す静脈の流れが悪くなり、足がむくみやすくなります。また、体重増加による筋肉の疲労やミネラル不足により、足がつりやすくなります(こむら返り)。


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妊娠中に「こむら返り」が起きやすいのはなぜ?足がつる原因や対処法

●貧血になりやすくなる

妊娠中は、胎児に血液を供給するために血液量が増えます。しかし、赤血球の生産が追いつかず、濃度が薄くなって貧血傾向になるのです。

とくに妊娠9か月は血液量がピークを迎え、妊娠前から40%も増えるとされており、貧血に注意が必要な時期になります。

●妊娠線ができやすくなる

妊娠9か月はとくにお腹が大きくなる時期です。お腹の皮ふの上に現れる、ひび割れのような線「妊娠線」ができやすくなります。 とくに縦に長い妊娠線が生じやすくなります。後ほど説明する保湿ケアが予防のポイントですが、妊娠線予防について詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。  


合わせて読みたい
妊娠線はいつからできる?気になる疑問や線ができる理由、ケアの方法

妊娠9か月頃の赤ちゃんの様子


妊娠9か月頃の赤ちゃんの様子

34週目の胎児のエコー写真

出産を間近に控えた妊娠9か月の胎児は、心臓や肺、腎臓などの臓器が完成に近づきます。お腹の中で赤ちゃんにどのような変化があるのか詳しく見ていきましょう。


●赤ちゃんの大きさが白菜1個分ほどになる


妊娠9か月頃の赤ちゃんの身長は40〜45センチメートル、体重は1,800〜2,500グラムほどです。 ちょうど大きさも重さも白菜1個分くらいになります。体重は1週間に200グラムほど増えていき、約3,000グラムで出産を迎えるのです。

ただし、赤ちゃんの大きさには個人差があります。

●新生児のような見た目になる

妊娠9か月の胎児は、皮下脂肪が増えて顔や体がふっくらしてきます。全身の産毛や顔のしわが消え、髪の毛や爪も伸び、新生児の赤ちゃんとほぼ同じ見た目です。

超音波検査(エコー検査)では、赤ちゃんの顔に表情も見られるようになります。

●お腹を蹴る力が強くなる

赤ちゃんが成長して力が強くなるため、胎動時にお腹を蹴る力も強くなります。赤ちゃんのキックやパンチで、お母さんが痛みを感じる場合もあるほどです。

●肺の機能が整う

34週以降は肺の機能が成熟し、お母さんのお腹の外に出ても自力で肺呼吸ができるケースが多いです。その場合、早産になっても人工呼吸器に頼らずに済み、病院の新生児集中治療室(NICU)に入る必要がありません。

妊娠9か月頃にやっておくべきこと


妊娠9か月頃にやっておくべきこと

出産を間近に控えた妊娠9か月までに必要な準備や、出産・産後に備えてやっておきたいことを紹介します。


●出産に必要な荷物をカバンに詰めておく


出産予定日よりも早く破水や陣痛が起こり、出産日が早まる可能性があるため、入院に必要な荷物をカバンに詰めておくと安心です。里帰り出産をされる方は妊娠8か月くらい、妊娠32週までの帰省が推奨されています。



<補足>
早産(妊娠22週以降37週未満の出産)の割合は5~6%であり、およそ20人に1人の赤ちゃんは早産で産まれます。

【入院に必要な主な荷物】

入院する産婦人科によって出産準備品は異なるため、一例になります。

入院準備について詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。


合わせて読みたい
出産の入院準備はいつまでにする?必要なもの&便利なグッズリスト

●産後必要な手続きを調べておく

出産後は赤ちゃんのお世話に専念できるよう、必要な手続きは事前に確認し、ご家族やパートナーに共有しておくとよいでしょう。
出産後の届け出や申請が必要な補助金の例には、以下のようなものがあります。

また、働いている方は、産休、育休の申請、保険の手続きなども確認しておきましょう。

●全身の保湿ケアをしっかりする

妊娠9か月にはお腹が急に大きくなり、妊娠10か月(36週~39週)に入ると前にせり出してきます。このとき、皮ふが乾燥して伸びにくくなっていると、妊娠線ができやすくなります。

妊娠線ができやすい部位(お腹、バスト、太もも、ヒップ、二の腕など)にマタニティクリームを塗り込み、皮ふを柔らかくしておくと、妊娠線の予防になります。


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妊娠線はいつからできる?気になる疑問や線ができる理由、ケアの方法

●軽い運動を心がける

出産には体力が必要です。体力が落ちないよう、ウォーキングなどの軽めの適度な運動を続けるとよいでしょう。

ただし、貧血による立ちくらみ症状や転倒、切迫早産などの危険もあり、妊娠高血圧症候群(旧:妊娠中毒症)などで安静が必要なケースもあるため、どの程度、運動すべきかについては事前に産婦人科医に相談しましょう。

●おりものの量や色に気をつける

妊娠9か月目になると、おりものが増える傾向があります。おりものが異常に増えたり、黄色みを帯びた色になったりした場合は、出産が近づいたサインである「おしるし」以外にも、細菌性膣症などのトラブルも考えられるため注意が必要です。

妊娠中に細菌性膣症になると、子宮に炎症が生じ、破水して早産につながるおそれがあります。おりものに異常を感じたら必ず産婦人科医に相談しましょう。

妊娠9か月を不安なく乗り越えて出産に備えよう  

妊娠9か月のママの状態、赤ちゃんの様子、しておくべきことがイメージでき、心配も解消したでしょうか。

お腹の赤ちゃんはほぼ新生児の赤ちゃんに近い状態で、白菜1個分もの大きさ、重さになります。

ママはそんな赤ちゃんに加えて、800ミリリットルもの羊水が入った子宮をお腹にかかえます。子宮は、底がみぞおちまで達するほどの大きさです。ママの心臓や肺、胃、膀胱を圧迫し、さまざまなマイナートラブルに見舞われやすくなります。

出産予定日まで1か月ちょっと。早産の可能性も考えて、さまざまな準備が必要です。

これから妊娠9か月を迎えるママやパパは、お産まで安心して過ごせるように、身体を大切にしながら準備を進めてくださいね。



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