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里帰り出産の帰省はいつ頃?メリット・デメリットや注意するべきこと

監修:古市 菜緒

プロフィール

助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

プレママさん、妊婦さんのなかには遠方での「里帰り出産」(里帰り分娩)を希望している方も多いでしょう。

ある調査によると、近年は4割前後の妊婦さんが里帰り出産しているそうです(野村総合研究所2023年調査ほか)。産科医療のガイドラインが整備され、病院やクリニック間の連携体制が整ったこと、2022年以降、厚生労働省の主導で行政の支援が拡充してきたことなどが背景にあると考えられています。
とはいえ、親御さん等がいる馴染みの土地でも、出産間近まで生活した場所を離れて違う場所で出産するには不安も伴うでしょう。病院・産婦人科クリニック(産院)やかかりつけの医師が途中で変わることも心配だと思います。
特に初めての出産(初産)ならば、里帰りの時期も含め、右も左もわからない状態かもしれません。

そこで今回の記事では、里帰り出産のメリットとデメリット、里帰りする適切な時期、必要な準備、使える制度や助成金などを詳しく解説します。この記事で里帰り分娩に関する情報を確認し、皆さまが少しでも不安なく里帰り出産を検討できれば幸いです。

里帰り出産とは


里帰り出産とは

里帰り出産とは、妊婦が出産前に一時的に帰省し、母親などの親族の支援を受けながら出産することをいいます。
里帰り出産は近年広がっており、冒頭で述べたとおり約4割の妊婦が里帰り出産をするというデータもあります。全国的な公的データは少なく、2割程度とする調査もあって実態は不明ですが、「かなりの数の女性が里帰り出産をしている」といえるでしょう。

里帰り出産を選ぶ理由としては、以下のようなものがあげられます。


  • 出産前後のサポートをに頼れる人が身近にいない
  • パートナーが仕事で忙しく頼ることが難しい
  • 心穏やかに安心できる環境で出産したい
  • 入院中や退院後に上の子のフォローが必要
  • 家事をしなくて済む
  • 何かあったときに頼れる人が多い etc…

里帰り出産がどのようなものかわかったところで、そのメリットやデメリット、スケジュール、注意点などを詳しく解説していきます。


里帰り出産のメリット・デメリット


里帰り出産のメリット・デメリット

里帰り出産が広がり、大きな理由がなくても里帰り出産を選ぶママが増えた一方で、里帰り出産での苦労話や失敗談なども一定数あるようです。その理由としては、サポート先の人数や、年齢、仕事の有無など、家庭によってサポート力に差があることがもあげられます。

ここでは、里帰り出産をするかどうか迷っている皆さまの検討材料になるよう、里帰り出産のメリットとデメリットを紹介していきます。


●メリット


実家の家族を頼れるため、心理的・身体的な負担が軽くなるのが大きなメリットです。

●デメリット

生活の場所を移ることに伴うさまざまなデメリットがあります。両親との仲や実家との物理的・心理的な距離も関係するでしょう。

いつ帰省し、いつ戻る?里帰り出産の大まかなスケジュール


いつ帰省し、いつ戻る?里帰り出産の大まかなスケジュール

いざ里帰り出産を行うと決めた際に、「いつ帰る?」「いつ戻る?」という問題は、里帰り希望の多くのママにとって悩みどころのようです。里帰り出産で「すべきこと」と一緒におおよそのスケジュールを解説します。


●帰省準備の時期:~妊娠27週頃


病院・クリニック選びと初診予約(分娩予約)

お産を扱う病院・クリニックは全国的に減少しています。里帰り出産を希望するなら、早めに実家周辺の出産施設を探して初診予約(分娩予約)を済ませましょう。

以前は、妊娠20週頃までに予約をし、ハイリスクの妊婦(※)なら妊娠28週、通常ならば32週までに初診を行う流れの病院・クリニックが多かったですが、最近は産科医療スタッフの人手不足やベッドの減少、ハイリスク妊婦の増加などの観点からスケジュールが早まる傾向にあります。

※持病のある人、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になった人、40歳を超える人などが該当します。

妊娠20週までに初診が必要、早いところでは妊娠15週・16週までに必要とする施設もあるので、きちんと確認し、早めの予約を行ってください。また、受診日に病院・クリニックに行けるよう、勤務先や上の子がいるなら送り迎えや保育園などの調整も行いましょう。

出産施設選びには、厚生労働省のサイト「出産なび」が便利です。地域や出産施設の種類、母子同室や立ち合い出産などのサービスなどの条件を設定したうえで、全国の出産施設を検索できます。

【参考】 「あなたにあった出産施設を探せるサイト『出産なび』」 (厚生労働省)
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/

紹介状の取得

出産施設が決まれば、現在、妊婦健診を受けている病院・クリニックの医師に里帰り出産をすることをなるべく早めに伝え、里帰りの前に紹介状を書いてもらいます。紹介状には、これまでの健診の結果や検査データなど、お産に必要な診療情報が記載されており、出産予定の施設を受診するために必要です。

胎児スクリーニング超音波検査

妊娠20週や30週に胎児の状態を調べるために行う検査ですが、里帰りでも自院で受けることを必須とする施設もあるので注意してください。

一般的な出産準備・入院準備

里帰りとは別に、一般的な出産準備・入院準備も必要です。必要物品や持ち物、便利グッズなどを「貴重品バッグ」「陣痛バッグ」「入院バッグ」に分けておくとよりよいでしょう。

入院準備は一般的に、妊娠後期に入った妊娠8か月(28週)頃から始め、出産予定日の1か月前(妊娠36週まで)には終わっているのが理想とされますが、里帰りの時期によっては早めの準備が必要になります。次の記事に詳しく書いてあるので、あわせてチェックしてみてください。


合わせて読みたい
出産の入院準備はいつまでにする?必要なもの&便利なグッズリスト

●帰省する時期:妊娠28~34週頃

初診後の2度目の受診を経膣分娩予定の場合は妊娠34週頃まで、帝王切開予定の場合は32週までに設定している病院・クリニックが多いです。そのため、早くて28週以降、通常は30週~34週の間に帰省するのが一般的でしょう。
経過が順調で34週までの帰省が難しい場合も、35週までの帰省が推奨されます。施設によっては、感染症などのリスク予防の観点から健康観察のための待機期間を設けているケースもあるので注意してください。

なお、長距離の移動は母体に負担がかかります。無理のない移動計画を立てましょう。できるだけ移動時間が短く、ゆれや振動の少ない移動手段が望ましいです。
飛行機での移動も可能ですが、搭乗規定により出産予定日の28日前に乗る場合は医師の診断書と本人の誓約書などが必要です。

●自宅へ戻る時期:産後1~2か月頃

出産した病院・クリニックで1か月児健康診査(1か月健診)を受けるケースが多いです。なかには1か月健診を必須とする施設もあるため、注意してください。


「【1100人にアンケート】出産前後に里帰りはした?期間はどれくらい?」(ゼクシィBaby)

このように家に戻る時期には個人差がありますが、産後は体力回復や育児への慣れが必要です。なるべく無理のないタイミングで戻れるように計画しましょう。帰省先でお宮参りをされる方も多いようです。

里帰り出産で注意すべきこと


里帰り出産で注意すべきこと

ここでは里帰り出産の際に必要な手続き、制度や助成金の利用に関する情報のほか、滞在里帰り先(実家)の受け入れ準備などについて解説します。

●自治体での手続きについて事前に調べる

国による里帰り出産支援が進み、昔と比べれば行政手続きも楽になりましたが、それでもいくつか必要な手続きがあります。お住まいの自治体の窓口(保健センターなど)で相談してみましょう。
お産のための入院では、入院申込書や身元引受書、預かり金、健康保険証などの一般的な必要書類・物品以外に、下記が必要になります。

また、自治体で母子健康手帳を交付された際に、妊婦健康診査や妊婦超音波検査、妊婦子宮頸体がん 検診などが無料で受けられるチケット(受診票・補助券)が渡されます(※)。
※内容は自治体によって違いがあります。

ただし受診票は基本、住民票のある自治体都道府県内でしか使えません。ほかの自治体で里帰り出産する場合は自費で妊婦健康診査や各種検査を受ける必要があります。このとき、出産から1年以内に妊婦健康診査助成金制度(償還払い)へ申請すれば支払ったお金は戻ってきます。この制度を忘れずにおきましょう。

自治体によって手続きや助成の内容は異なります。たとえば秋田市では、事前に「里帰り等妊婦連絡票」の手続きをすれば、県外の医療機関で受けた健診費用の一部が助成されるしくみです。
自治体独自のサービスがある場合もあるため、早めの確認をおすすめします。

【参考】 「里帰り出産」 (秋田市)
URL:https://www.city.akita.lg.jp/kurashi/kosodate/1005860/1005926.html

出生届

里帰り出産の場合、出生届をどこに出すか迷われる方も多いです。出生届は、赤ちゃんが生まれてから14日以内に提出しなければなりません。
提出先は、以下のどれかです。
・父母の本籍地
・住民票のある自治体
・子の出生地
・里帰り先等の一時滞在地


つまり、里帰り先の自治体への提出も可能です。ただし、その後に必要な児童手当や乳幼児医療費助成金申請などは住民票がある自治体でしか受け付けていないため、届出先をどうするかは慎重に選びましょう。

産後ケア

自治体によっては、産後ケア事業として、産後にショートステイ、デイサービス、訪問支援などのさまざまなサービスが用意されています。里帰り先の自治体でも受けることが可能です。費用補助の制度を設けている自治体もあるので、相談してみてください。

●事前に生活費や部屋の相談をしておく

里帰りを決めたら実家の両親や兄弟と、滞在する部屋、授乳場所、滞在中の生活や費用などについて相談しましょう。実家だからと甘えすぎて、両親や兄弟との関係が悪化するケースもあるので注意してください。両親などにお礼を渡す方も多く、相場は1か月あたり2万円~3万円とされています。

●里帰り先で赤ちゃんを受け入れる準備をする

里帰り先で必要になる物品の準備も必要です。退院後に赤ちゃんに使用するベビーソープや洗濯洗剤、保湿剤などのベビーケア用品を用意しておきましょう。

実家で準備してもらう、インターネットで購入して送るなどの方法がありますが、前者の場合は、事前にあらかじめお金を渡す、後で清算するなど、形を決めておきます。かさばるような育児用品(ベビーベッド、チャイルドシートなど)は、短期間の場合、リースを利用するのもおすすめです。

赤ちゃんを迎える環境整備も重要です。赤ちゃんが滞在する部屋は、事前に掃除してきれいにしておきましょう。また、台所のシンクや浴室など、赤ちゃんの沐浴を予定する場所も掃除が必要です。

このほか、見落としがちですが、ベビー服を洗うことになる洗濯機の掃除も重要になります。実家の洗濯機は長く使われているケースが多いので、洗剤残りや繊維くず、カビなどで汚れているかもしれません。また、普段は大人用の洗濯洗剤や柔軟剤を使用しているため、赤ちゃんのデリケートな肌への刺激となる成分が残留している可能性もあるのです。



*洗濯機の掃除方法ですが、まず細かいパーツを外してぬるま湯に浸け、ブラシで汚れを落とします。歯ブラシなどが便利です。そのうえでパーツを外したまま酸素系漂白剤を使って洗濯機を空回しして、2~3時間放置します。汚れが浮いてくるのですくい取りましょう。
掃除後にパーツを戻した状態で2回ほど洗濯機を水で空回しすれば終了です。

※ドラム式洗濯機には使えない場合があるので、必ず使用上の注意を確認しましょう。

里帰り出産のメリットとデメリットを知って後悔しない選択を

里帰り出産について、具体的なイメージができたでしょうか。「安心したい」「家事が大変だから助けてほしい」「生まれたばかりの赤ちゃんのお世話が心配」などとさまざまなニーズがありますが、里帰り出産にはメリットだけでなく、紹介したとおりのデメリットもあります。

また、里帰り先の病院・クリニックの分娩予約の時期が予想以上に早いと思われた方も多いかもしれません。できれば妊娠初期に病院選びや予約が必要です。加えて、妊娠30週~34週という一般的な帰省の時期も早いと感じられた方もいるでしょう。それまでに出産準備、入院準備、里帰り生活の準備、自治体での手続きなども終えておく必要があります。

「里帰り出産してみたけど大変だった」「後悔した」ということがないよう、記事を参考にご自身に最適な出産の形を選んでくださいね。



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