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子どもの顔にできた赤いブツブツは乳児湿疹?原因やケアの方法

監修:古市 菜緒

プロフィール

助産師としてこれまで10,000件以上の出産に携わり、5,000人以上の方を対象に産前・産後セミナー等の講師を務める。助産師のレベルが世界的に高いAUSとNZで数年生活、帰国後バースコンサルタントを起ち上げる。現在は、高齢出産の対象であるOVER35の方にむけた「妊娠・出産・育児」をサポートする活動を行う。その他、関連する記事の執筆やサービス・商品の監修、企業のセミナー講師、産科病院のコンサルタントなどを務める。

赤ちゃんの顔にブツブツ(発疹)を見つけると、育児が初めてのママ・パパは驚くかもしれません。そのうえ、ブツブツが広がったり黄色いかさぶたができたりしたら、病気かもしれないと心配になるでしょう。

赤ちゃんの肌は卵のようにきれいでつるつるというイメージがあるかもしれませんが、実際のところ、赤ちゃんの肌はとてもデリケートで肌荒れや炎症などの様々な皮ふトラブルが生じやすいものです。

今回は、赤ちゃんの顔にできたブツブツの原因の一つとして考えられる乳児湿疹について、原因や対処法を含め解説します。これから赤ちゃんを迎える方もぜひチェックしてください。

赤ちゃんの顔にできる赤いブツブツ「乳児湿疹」


赤ちゃんの顔にできる赤いブツブツ「乳児湿疹」

乳児湿疹は、赤ちゃんの顔にブツブツをつくる原因の一つですが、症状は多彩です。まずは乳児湿疹とはどのような状態を指すのかを解説します。


●「乳児湿疹」とは?


乳児湿疹は、新生児期(生後28日未満)や乳児期(1歳未満)の赤ちゃんにできる湿疹の総称です。湿疹とは、皮ふの表層の薄い皮が炎症を起こし、赤くなったり(紅斑)、ブツブツができたり(丘疹)、小さな水ぶくれ(小水疱)ができたりする状態をいいます。

乳児湿疹は場合によって、皮ふがただれてカサカサになったり、皮が剥がれて白色や黄色のフケのようなものが出たり、黄色いかさぶたのようなものが多数できたりするため、心配になるママ・パパも多いでしょう。ただし、乳児湿疹は20~30%もの赤ちゃんにみられる一般的な症状で、多くの場合は一過性です。

・乳児湿疹があらわれやすい主な場所
顔(おでこ・眉毛・鼻の周り・ほっぺ・耳の周りなど)、首、頭皮、脇の下など皮脂が多い部分にあらわれやすいですが、全身にあらわれることもあります。あせもの場合は汗がたまりやすい首や手首のくびれのシワ、背中などが好発部位です。

・乳児湿疹の種類
乳児湿疹は、単独の病名ではなく赤ちゃんの肌トラブルの総称です。乳児湿疹を引き起こす代表的な病気や症状には、次のようなものがあります。

新生児ざ瘡(新生児ニキビ)

正式な名称は「新生児痤瘡(ざそう)」です。
生まれて間もない赤ちゃんの顔にニキビのような赤いまたは白いプツプツができるもので、生後2週頃からみられます。ママからもらったホルモンが血中に残り皮脂の分泌がさかんになることが原因とされています。生後数か月には消失することがほとんどでスキンケアが大切です。

乳児脂漏性湿疹(乳児脂漏性皮ふ炎)

新生児(生後28日未満)の場合は新生児脂漏性湿疹とよびます。
頭や髪の生え際、眉毛、鼻や耳の周り、脇の下、胸、おへそ、背中などに赤いブツブツや黄色のフケ・かさぶたができます。新生児ざ瘡と同じくママからもらったホルモンの影響で皮脂分泌が過剰になることが原因とされ、生後2~3か月までは起こりやすい湿疹です。
アトピー性皮ふ炎と異なり、通常は生後8~12か月頃までに自然に治ります。

皮脂欠乏性湿疹(皮脂欠乏症)

皮ふ表面の皮脂の分泌量が減り保湿が足りなくなって皮ふが乾燥してしまうものです。カサカサして赤みを帯びます。
赤ちゃんの皮ふは、ママからもらったホルモンの影響で出生後には皮脂がさかんに分泌されますが、生後数か月頃からその影響がなくなり皮脂の分泌量が減ることで、乾燥しやすくなります。乾燥した肌に炎症が生じた状態が皮脂欠乏性湿疹です。保湿とスキンケアが重要になります。大人にも起こる病気ですがメカニズムが異なります。

アトピー性皮ふ炎

アトピー性皮ふ炎は、よくなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な痒み(かゆみ)の強い湿疹で、アレルギーが原因とされています。
乳児の場合、アトピー性皮ふ炎とほかの乳児湿疹を区別するのが難しいため、「湿疹がなかなか治らない」「痒みのある湿疹が2か月以上続く」などの場合は医師に相談しましょう。

汗疹(あせも)

赤ちゃんは体温調節の機能が未熟で、新陳代謝も激しいため、よく汗をかきます。汗疹(あせも)は、大量の汗にかぶれたり汗の出口が角質や汚れなどで詰まったりして炎症を起こした状態です。皮ふが赤みを帯びて赤いブツブツができます。痒みや熱感を伴うこともあります。
好発部位は、おでこや首回り、脇の下、手首、足首など、汗をかきやすい場所、汗がたまりやすい場所です。赤ちゃんに暑い思いをさせず、汗をかいたらシャワーで流したり拭いたりして皮ふを清潔にしてあげることが重要になります。

なお、おむつを着用する部分にできる接触性皮ふ炎(おむつかぶれ)、よだれやミルクによって口周りにできる接触性皮ふ炎(よだれかぶれ)は、一般的に乳児湿疹に含めない場合が多いです。

●乳児湿疹ができやすい時期

「乳児湿疹の種類」で説明した通り、乳児湿疹を引き起こす病気・皮ふトラブルは様々ですが、生後2週頃からできるものが多いです。そして、多くの場合は1歳頃までには落ち着いてきます。

汗疹(あせも)以外の乳児湿疹はママからもらったホルモンの影響が大きく、その影響が1歳頃までに徐々に薄れていくためです。加えて、赤ちゃん自身の皮ふのバリア機能が発達し、肌の油分と水分のバランスも整っていくためでもあります。

乳幼児に湿疹ができる主な3つの原因


前述の通り、乳児湿疹を引き起こす病気・皮ふトラブルは様々ですが、次の3つは湿疹を悪化させる要因になることが多いです。


●皮脂の増加


赤ちゃんはママからもらったホルモンの影響で新生児期から皮脂分泌が徐々に増加し、生後2~3か月頃にピークとなります。この時期は毛穴(皮脂腺)が詰まりやすく、余分な皮脂にマラセチアというカビ(真菌)の一種が増殖したり汚れやアレルゲンが付着したりして様々な皮ふトラブルが生じやすくなります。なお、皮脂欠乏性湿疹は皮脂の分泌量の急激な低下による乾燥が原因です。また、アトピー性皮ふ炎も乾燥が主体になります。

●肌の乾燥

赤ちゃんの皮ふは薄く、保湿に重要な役割を果たす最も外側の角質層(角層)に至っては大人の半分~1/3程度の厚みしかありません。角質層内の保湿成分も少ないため、皮ふの水分が蒸発しやすい状態にあります。

生後2~3か月まではママからもらったホルモンの影響で皮脂が多く分泌され、それが肌の乾燥を防ぎますが、生後3か月以降はホルモンの影響も少なくなり、急激に皮脂の分泌量が減少します。この時期以降は、特に肌の乾燥に注意が必要です。

●肌への刺激

赤ちゃんの皮ふはバリア機能も未熟なため刺激に弱いです。余分な皮脂に付着した菌や汚れ・アレルゲン、汗やよだれ、口からこぼれたミルクや離乳食、衣類やリネン類などが刺激となって乳児湿疹を引き起こすことがあります。

赤ちゃんの顔に乳児湿疹ができたときの対処法


多くの乳児湿疹は、適切なスキンケアを行うことで自然と改善していきます。清潔、保湿、低刺激がキーワードです。毎日小まめに行っていきましょう。


●肌を清潔に保つ


赤ちゃんは汗をかきやすくいです。汗を放置したり、余分な皮脂をそのままにして菌が増殖したり汚れやアレルゲンが付着したりすると乳児湿疹の悪化の原因になるため、皮ふを清潔に保つことが重要になります。

汗をたくさんかいたら、小まめに肌着を替えたり汗を拭いたりシャワーで流したりしてあげます。また、余分な皮脂を洗い流すため、1日1回は入浴しましょう。
皮脂は水だけでは落とせないため、低刺激の石けんやベビーソープを使います。肌を傷めないために、十分な泡をつけた手でやさしく丁寧に洗ってあげることがポイントです。ワンプッシュで泡が出る泡タイプのベビーソープが使いやすくてよいでしょう。泡切れのよいタイプなら、洗浄成分が残りにくく肌への刺激がさらに少なくなります。

●肌を保湿する

保湿も、赤ちゃんを皮ふトラブルから守る重要な要素です。肌が乾燥すると、アレルゲンや菌などの外部刺激による損傷を受けやすく、それが皮ふトラブル悪化の要因になります。ベビーローションやベビークリーム、ワセリンなどの保湿剤を使って、なるべく小まめに保湿ケアを行いましょう。

特に重要なのはお風呂上がりです。肌の水分が蒸発しやすいため、なるべく早めに保湿ケアを行います。また、皮ふの乾燥が目立つときや、冬場のお出かけ時などは、朝や外出前にも行うのもよいでしょう。

●肌への刺激が少ない衣類やリネン類・タオルを使う

肌に直接触れる衣類やリネン類・タオルの刺激も、皮ふトラブル悪化の要因になります。特にリネン類やタオルは顔に多く触れるもののため、顔の乳児湿疹では特に気をつけたいところでしょう。

素材は、綿100%のものが肌にやさしく汗も吸いやすいためにおすすめです。衣類のタグやゴム、縫い目などが肌に刺激を与える場合もあるため、少ない物を選びましょう。
衣類を洗う洗剤選びも重要です。合成界面活性剤や合成香料が無添加で刺激の少ない、赤ちゃん専用の洗剤を選ぶとよいでしょう。

乳児湿疹を見つけたパパやママによくある疑問


大切な赤ちゃんに乳児湿疹を見つけたら、自然に治ることが多いと知ってもいろいろと心配になるでしょう。そこで、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。

Q.乳児湿疹で病院に行く目安は?

次のようなケースは、なるべく早めに病院やクリニックなどを受診しましょう。
・熱が一緒に出ているとき
・湿疹が急に広がったとき
・湿疹が化膿したとき
・湿疹が何度も繰り返し生じる場合
・湿疹が数か月たっても治らない場合
・痒みがありそうな場合
・赤ちゃんが自分で引っかいて傷になる場合

Q.アトピー性皮ふ炎と乳児湿疹は違うの?

乳児湿疹を引き起こす病気の一つがアトピー性皮ふ炎です。ただし、ほかの乳児湿疹は適切なスキンケアを行えば治療しなくても自然に治ることが多いのに対して、アトピー性皮ふ炎は1歳以降も持続することが多いため、アトピー性皮ふ炎が考えられる場合は医師に相談したほうがよいでしょう。

アトピー性皮ふ炎の診断基準は、「痒みを伴う湿疹が良い状態と悪い状態を繰り返し、それが2ヶ月以上続くこと」(日本皮ふ科学会)になります。頭や顔の湿疹から始まり、徐々に全身に広がるケースが多く、左右対称に、肘の内側、足の付け根、膝の裏側などに発症するのが特徴です。湿疹が繰り返し出て、痒みがありそうな場合は病院やクリニックを受診してみましょう。

1歳未満の場合はほかの乳児湿疹と区別がつきにくいですが、早めに適切な対処を行えばその後の経過が改善する例も多いです。ステロイドの軟膏や塗り薬が処方される場合もあります。

Q. 湿疹に黄色いかさぶたがついているときはどうすればいい?

かさぶたは無理には剥がさないようにしましょう。ベビーオイルやワセリンなどをなじませて30分ほどおいてからお風呂に入り、石けんを泡立ててやさしく洗い流します。落ちない分は、そのままにしておいて大丈夫です。

Q.母乳育児は乳児湿疹の原因になる?

母乳やママの食べた物が乳児湿疹に直接影響することはありません。また、授乳中の食生活をたとえ数か月変えても母乳の成分は変わらないとされています。

乳児湿疹の原因は、これまで述べてきたように赤ちゃんの体内のホルモンバランスによる皮脂の過剰な分泌、乾燥による皮ふのバリア機能の低下です。乳児湿疹は生理現象ともいえるほど多くの赤ちゃんにみられる皮ふトラブルのため、母乳が原因と考える必要はありません。なお、母乳が赤ちゃんの肌につくと、皮ふを刺激してかぶれが生じることはあります。かぶれも乳児湿疹の一種です。授乳後は口周りなどを清潔にしてあげましょう。

Q.乳児湿疹がでている場合はお出かけできない?

紫外線は肌の刺激になるため、帽子を着用したり露出の少ない服装にしたりしたうえで、湿疹が直射日光に当たらないようにすればお出かけできます。

日焼け止めクリームは、お出かけができるようになってくる時期から、塗布を検討してきましょう。特に夏場は紫外線が強く、皮ふトラブルを招く可能性があります。湿疹がある部分に直接塗るのは避け、保湿剤や塗り薬の上に日焼け止めを塗りましょう。また、虫よけは、さらにその上から塗布すると効果的です。日焼け止めや虫よけを使用する際は、必ず赤ちゃんでも使用できる商品を選びましょう。

日常のスキンケアが大切

乳児湿疹について解説してきましたが、赤ちゃんの日頃のスキンケアの重要性をご理解いただけたでしょうか。乳児湿疹の多くは適切なスキンケアを行えば、一定の期間で消失していくものです。清潔、保湿、赤ちゃんに使う衣類などに気を配りましょう。

また、乳児湿疹の一部にはアトピー性皮ふ炎などの長期化する疾患も含まれています。湿疹が長期間続いたり繰り返したりするようなら、早めに、小児科や皮ふ科の医師に相談してください。乳児湿疹は生理現象という医師もいるほど、よくみられる皮ふトラブルです。毎日丁寧にスキンケアをしていても乳児湿疹になることはあります。「赤ちゃんにはよくあること」と考えて、ご自身を責めないでくださいね。




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