第3年次活動報告(1)
ウガンダ国モロト県における生計向上支援と母子栄養指導を通じた栄養改善事業
ウガンダ北東部のカラモジャ地域は、昔から牧畜を営む人々が多く、家畜や雨水にたよる農業で暮らしています。しかし、干ばつが頻発し、作物が育ちにくく、十分な食べ物を得られない家庭が少なくありません。特にモロト県は、2人に1人以上が貧困状態と言われ、道路や学校、病院などの生活基盤も整っていないことから、他の地域に比べて状況が厳しく、約4割の子どもが慢性的な栄養不良の状態にあり、乳幼児死亡の約半分は低栄養が原因とされています。栄養不良は体の発達だけでなく、学ぶ力や将来の可能性にも影響を及ぼします。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、干ばつに強い農業や畜産の支援、母子の栄養や保健サービスの充実を通じた、子どもの栄養改善に向けた取り組みを進めています。2023年3月にモロト県のタパッチ準郡で始めた活動は、2024年度にはさらに2つの準郡にも広げ、現在は3準郡で取り組んでいます。
最終年となる2025年度は、これまでの成果を地域に根づかせ、住民自身の力で、そして地域の関係者同士の連携を通じて、地域全体で子どもたちの健やかな成長を支えることができるよう支援を続けています。
活動内容
農家グループの村落貯蓄組合活動の貯蓄分配の様子
家庭での緊急時の出費や農業への再投資など、家庭の栄養改善を総合的に後押しする仕組みとして、貯蓄組合活動を実施しています。この組合は、1年間で約67万円(15,318,700ウガンダシリング)を貯蓄し、年間を通じて積み立てた貯蓄と利子が組合員に分配されました。メンバーたちは、「お金を貯蓄することができて嬉しい。これからも続けたい」と口々に話していました。この日に受け取ったお金の使い道については、「子どもを学校に行かせたい」、「養豚や養鶏などの小規模ビジネスに投資し、得た利益を再び貯蓄したい」など、家計の向上に向けた考えや子どもを想った使い方など前向きな声が多く聞かれました。
農家グループの村落貯蓄組合(VSLA)活動の貯蓄分配の様子
モデル農園で収穫した野菜と農家
気候変動に強い農法を実践するモデル農園では、なす、ササゲ、玉ねぎ、ピーマンなどの野菜を栽培しています。この農園では、1年次に購入した足踏み式ポンプを使って川から水を引いており、都度水を運ぶ必要がなく、楽に野菜に水やりができるようになりました。参加農家たちは、土地の整備や苗床づくり、苗の間隔など、気候変動型農業の研修で学んだ内容を、実際の農作業に活かしています。農園で活動するエスターさんは、笑顔で誇らしげに「私たちの農園は、コミュニティ内で野菜を購入する拠点になっています」と話していました。
モデル農園で収穫した野菜と農家
村落保健ボランティアへの研修
新規・継続の村落保健ボランティア90人を対象に、母子栄養に関する研修を実施しました。村落保健ボランティアは、コミュニティでの子どもの栄養スクリーニングや母子栄養の啓発活動を担いますが、専門的な栄養知識を持つわけではないため、活動に必要な基礎知識を身につけること、また継続的に知識をアップデートしていくことが重要です。研修では、食品群やバランスの取れた食事、栄養評価の方法など、すぐに活動に活かせる内容を学びました。
研修を受けたボランティアは、学んだことをもとに、10月以降、各担当コミュニティにて、家庭訪問や子どもの栄養スクリーニング、離乳食や栄養バランスの取れた食事の調理実演などの活動を行っています。
村落保健ボランティアの研修の様子
四半期栄養スクリーニング
事業対象3準郡にて、村落保健ボランティアが2歳未満児の栄養スクリーニングを実施しました。3,964人の子どもの栄養状態をチェックし、新たに214人が中等度栄養不良、51人が重度栄養不良と診断されました。各子どもの栄養状態に合わせ、病院や保健施設へ紹介しました。また、栄養不良と判断された子どもやそのリスクがある子どもをもつ家庭を継続的に訪問し、経過の観察とカウンセリングを実施しています。
栄養スクリーニングの様子
母子栄養と子どもの保護に関するコミュニティ啓発活動
子どもが安全で健やかに生活できる環境を整えるため、地方行政官や保健施設職員と連携して啓発活動を実施し、計1,125人の地域住民が参加しました。離乳食の与え方、食事の回数、栄養バランスといった内容に加え、育児における男性の関与の重要性や家庭・コミュニティにおける保護者の役割・責任、そして、虐待やネグレクト、児童労働について、また、虐待の通報方法など、子どもの保護に関する内容についても伝えました。
保健医療施設の栄養関連活動の監督・指導
県保健局およびモロト県地域中核病院の職員と連携し、9つの保健医療施設で栄養関連活動の監督・指導を実施しました。すべての保健施設に質改善チームが設立され、昨年と比較して活発に活動していることを確認できました。一方、本来は質改善チームが監督すべき、栄養評価の記録不備や栄養活動に関する予算が詳細に作成されていなかったり、故障した身体測定機器が放置されていたりするなどの課題も発見されました。故障していた機器は修理のためモロト県地域中核病院に搬送するなど、これらの課題については、それぞれの改善計画を立てており、次回のモニタリング時に対応状況を確認予定です。



















