第2年次活動報告(1)
ウガンダ国モロト県における生計向上支援と母子栄養指導を通じた栄養改善事業
ウガンダ北東部のカラモジャ地域には、歴史的に多くの牧畜民が居住しており、主に畜産と雨に頼った天水農業で生計を立てていますが、頻繁に干ばつが発生するため、人々は食料援助に頼らざるを得ない状況です。貧困率も60.2%とウガンダ国内で最も高くなっています。
同地域に位置するモロト県では、住民の50%が急性食料不安または人道危機レベルの飢餓リスクにさらされています。食料不安は子どもたちの栄養状態に大きな影響を与えており、4割近くの子どもたちが慢性的な栄養不良の状態にあり、乳幼児死亡のほぼ半数(45%)が低栄養に起因しています。また、栄養不良は子どもの認知発達の遅れや学力の低下につながり、子どもたちの健全な発達を妨げます。
本事業の1年目を2023年3月からモロト県タパッチ準郡にて実施し、2024年7月に無事に完了いたしました。その知見を活かし、2024年8月より、同タパッチ準郡に加え、ルプトゥック準郡とカティケキレ準郡の計3準郡に対象地域を広げ、本事業の2年目の活動を開始しました。
子どもの低栄養が深刻であるウガンダ・モロト県で、農・畜産業支援を通じた生計向上、母子栄養に関する保健サービスの改善、保健と農業のセクター間の連携促進の活動を実施し、コミュニティに栄養改善に向けた活動を定着させ、5歳未満の子どもの栄養状態の改善を目指します。
活動内容
1.農・畜産業支援を通じた生計向上
農・畜産業についての技術を農民に指導する計20人の混合農業普及員と地域ボランティア10人を対象に、気候変動対応型農法に関する研修を3日間行いました。ウガンダ国立農業研究機構(NARO)の専門家から、季節ごとの作付け計画や農作物および農地の管理、作物栽培におけるニーズ、種子や農業資材の使用方法、飼料の選定と疾病対策を含む畜産管理方法、養蜂の手法や蜂蜜製品の開発等を学びました。
1年次で設立した灌漑施設やモデル農園の活用も進んでいます。しかし、モデル農園には動物の侵入を防ぐ柵がなく、野菜を収穫する前に畑を荒らされる懸念があることや、トイレや手洗い施設がないことによる不衛生な環境を問題視する声も聞こえてきました。
また、新たに3つの小規模生産者グループを設立しました。1年次に設立した5つのグループと合わせて、本事業では計8グループを支援しています。8グループからそれぞれ4人の農家リーダーを選定し、グループの組織管理と運営能力強化を目的とした研修を実施しました。研修では、県行政官から定款策定や会議記録等のグループ運営に必要な書類を作成するための手法、マーケティング、家庭での衛生・栄養改善に係る取り組みなど、農作物生産・家畜管理を取り巻く環境に関する幅広いトピックを学びました。
さらに、事業地域にて計160人の農民を対象に、貯蓄と貸し付けに関する研修を4日間行いました。子どものための計画的な資金活用を含めた家計管理を実践できるようにするため、貯蓄の重要性、貯蓄方法、投資計画、村貯蓄貸付組合の活用等のトピックを扱いました。昨年の11月に設立された村落貯蓄貸付組合のひとつであるコドニョグループは、週に一回貯蓄会議を開き、現在までに1,240,000シリング(≒52,000円)を貯蓄しています。同グループのリーダーは、「本事業に大変感謝しています。特に、研修を通じて貯蓄の重要性と方法を学び、種子を供給していただいたことで、栽培した野菜を販売して、収益を貯蓄できました。そして、子どもを学校に行かせることができました。」と話します。また、他のメンバーも「貸し付けのお金を活用して、子どもを病院に連れていくことができました。」、「グループの貯蓄からお金を借りて小規模ビジネスを始め、子どもを中学校に通わせることができています。」と嬉しそうに述べました。
農・畜産業の研修を受ける農民たち
モデル農園でササゲに散水する農民
2.母子栄養に関する保健サービスの改善
保健施設とコミュニティでの母子保健サービス強化のための研修を実施しました。栄養不良スクリーニング、食事の多様性、適切な授乳と補完食、妊産婦の栄養、家庭菜園に関する内容等を扱いました。
また、昨年に引き続き、村落保健チームがコミュニティにて、上腕周囲径を使った栄養スクリーニング活動を定期的に実施しています。3,379人をスクリーニングし、新たに35人が重度急性栄養不良、73人が中等度急性栄養不良と診断されました。それぞれの子どもの栄養状態に合わせ、病院や保健施設へ紹介しました。また、栄養不良と判断された子どもやそのリスクがある子どもをもつ世帯を継続的に訪問、経過を観察し、改善に向けたフォローアップを行っています。さらに、保健施設職員と村落保健チームの能力強化、より良い質の母子保健・栄養サービスを届けるために、活動を監督・指導するモニタリング活動も行いました。
乳幼児摂食習慣と子どもの保護促進のための住民集会を実施し、計612人が参加しました。この集会では、地域住民が乳幼児の適切な食事管理や栄養改善の重要性を学ぶとともに、児童婚、女子教育、10代の妊娠といった課題が栄養や子どもの将来にどのような影響を及ぼすかについて議論しました。このような議論を通じて、住民全体の意識向上と行動変容を促し、地域全体で子どもの栄養と保護を支える環境づくりを目指すことの必要性が再確認されました。
さらに、事業地域の9つの保健施設にて、調理実習を実施しました。妊婦や授乳期の女性、および男性を含む2歳未満の子どもの養育者計445人が参加しました。さらに、同保健施設にて栄養啓発セッションを継続して行っており、1,768人が妊産婦期の食事、家庭菜園、手洗いなどの水・衛生環境について学びました。職員は、「本事業のコミュニティでの栄養啓発活動とスクリーニング活動(栄養不良の予防と早期特定)のおかげで、保健施設に紹介される栄養不良の子どもの数が減りました。」、「調理実習と栄養啓発活動のおかげで、母親たちの栄養に関する知識が向上しました。」と述べました。
栄養啓発セッションの様子
調理実習の様子



















