私たちの"いのち"を守る皮ふ
皮ふ(肌)は体の中で最大の臓器です。
人間の皮ふはいきものが進化する過程で獲得した、乾燥した大気中で生きることができる構造を持っています。
皮ふ(肌)は、外から、表皮・真皮・皮下組織の順で、大きく3つの層からできています。中でも表皮は、皮ふのいちばん外側にあり、臓器の中でも直接外界と接する部分です。厚さは、わずか0.2mm以下ですが、外からの危険な異物の侵入や、体内からの水分の蒸発を防いで、私たちの身体、いのちを守っています。
人類が長い年月をかけて進化の過程で獲得した流れと、お母さんのお腹の中で赤ちゃんの皮ふができる流れは類似しており、まるで数億年の進化を数ヶ月で再現しているかのようで、生命の神秘を感じさせます。
赤ちゃんの肌はデリケート
生後の赤ちゃんの肌は、基本的には大人と同じ構造ですが、皮ふの厚さは半分しかありません。さらに、バリア・保湿機能に大切な、"皮脂、細胞間脂質、天然保湿因子(アミノ酸など)"が少なく、乾燥しやすいうえに、外的刺激を受けやすいデリケートな状態です。
大人と同じ角層に成長するのは3~4歳ごろ
表皮の最表面にある角層。この角層の厚さは増すにしたがって、肌の水分蒸散量(水分が体の外に逃げていく量)は低下し、バリア機能は高まるもの。大人と同じ水分残存量、角層機能に成長するには、約3歳半までかかると言われています。
赤ちゃんの肌はすべすべにみえて、実はうるおい不足!?
赤ちゃんの肌はすべすべでうるおっているように見えて、肌のバリア機能に大切な水分と油分が不足していることも。お母さんは十分潤っていると思っていても、実際の肌の状態には大きなずれがあるという研究もあります。みかけだけで判断せず、きちんとスキンケアをしてあげることが大切です。
70名の生後1か月の赤ちゃんの皮ふ状態を測定した結果、水分量は 97.1% が「不足」、油分量は 42.1% が「不足」と、乾燥状態であったことが分かりました。
しかし、 80%以上のお母さまは お子さんの皮ふ状態を 「標準」と評価していて、実際のお子さんの皮ふ状態の間にはギャップがあり、適切なスキンケアにつなげられていない可能性があります。
皮ふが乾燥するとバリア機能が低下し、そこから異物が侵入して様々な皮ふトラブルが誘発されるため、一人一人の肌状態をきちんと評価し、適切なスキンケアの実施により皮ふ状態を良好に保つことが重要です。
赤ちゃんはどうして汗っかきなの?
人間は、汗をかくことで身体の中の熱を放散しています。
その汗を分泌する腺、"汗腺"の数は、実は赤ちゃんの頃から大人になるまで変わらないのです!
赤ちゃんは、その小さな体に大人と同じ数の汗腺があるため、汗っかきに見えるのです。
大量の汗は体温を必要以上に奪ううえ、肌に残ると刺激の原因となってしまいます。こまめな着替えはもちろん、きちんと洗い流してあげることを意識してくださいね。
そして生後すぐの赤ちゃんは、汗腺があっても汗を出す能力がまだまだ未熟。ですので、2~3歳頃までは季節に応じた環境を与えて、しっかりと汗を流す練習をすることも大切です。